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計算上、わたしたちのからだの細胞は60日間、約2カ月ですべてが生まれ変わっているわけだ。
これまでの医学では、この古くなった赤血球や白血球などの血液をはじめ、筋肉組織、骨、軟骨などのリモデリングのことをほとんど考えていなかった。
いや、むしろ当たり前すぎて、その重要性を見逃していたのである。
しかし、免疫システムの大本は、じつは組織の新陳代謝のシステムにあったのである。
つまり、できたての白血球や組織球が、古くなってくたびれ果てた組織をいち早く見分けて消化・吸収し、再利用できるものは再び使うこと、これが免疫システムなのである。
そのついでに、細菌や毒物、他人から移植された組織なども消化する。
やや専門的なことばを使えば、免疫システムの正体とは、細胞レベルの消化・吸収・代謝・同化・異化・貯蔵・排出という一連の生体反応のことなのである。
したがって、免疫力とは、からだの古くなった細胞と、細菌やウイルス、異種タンパク質などに対する、からだの中の細胞の消化力ということができる。
従来の免疫学は、この一連の自動的な反応を擬人化して解釈し、免疫システムとは、自己と非自己を見分けるためにあるといった「目的論」で研究してきたために、古くなった細胞、すなわち老化細胞の掃除という、免疫システムがもつ本質を見失ってしまっていたのである。
さて、免疫システムの本質でもある老化細胞の掃除のときに活躍するのが、白血球にある主要組織適合抗原と呼ばれるところだ。
これは白血球や組織球の膜をつくってある。
現在の免疫学者は、このHLAこそが、自己と非自己を見分けるために存在すると主張しているのだが、やはりピントはずれは否めない。
たしかにHLAは、他人の細胞が体内に入ってくると自動的に作動し、その細胞膜と結合し、その後、HLAの本体である白血球が消化・吸収しようとする。
つまり、同化するわけだ。
消化吸収の方法も、細かく分解したり、特殊なタンパク質をつくったりと、じつに多種多様な方法をとるのであるが、それさえもHLAがもつ機能の一部でしかないのでているタンパク質のことで、人間の場合のMHCはヒト白血球抗原と呼ばれて体内に入り込んできた異物、つまり、それまで体内にはなかった異種のタンパク質のことを「抗原」と呼び、この抗原に対応してできる特殊なタンパク質は「抗体」と呼ぶ。
これが後天免疫系で、液性免疫とも呼ばれている。
この抗体と異物が結合して、入ってきた異物を取り囲む。
異物はタンパク質にすっかり覆われることで無害化する。
これが「抗原抗体反応」である。
アレルギー反応や免疫システムを説明する際には必ず使われる用語であるが、それは抗原=非自己、抗体=自己という図式のなかで、敵と味方とに分かれて、ミクロの世界で次々とくり広げられる壮大なスペクタルとして表現されてきた。
まるでスターウォーズのような、インナーウォーズの展開に免疫学者は心を躍らせたのである。
しかし、細胞免疫と液性の免疫とでは根本から異なるのである。
HLAは、細菌やウイルス、ガン細胞、未消化のまま吸収されたタンパク質のほか、輸血や組織移植、臓器移植で入ってきた他人の器官、さらには大気汚染物質や気道から入るタンパク質などに対して自動的に反応する。
そして、反応によって、しばしば皮下組織にかゆみのある湿疹を生じる。
たとえば、ジンマシンは悪いものを食べるとすぐに皮層に湿疹などができる症状だが、このジンマシンの例からもわかるように、白血球の消化がうまくいかないと、その産物の毒素によって皮層に湿疹やかゆみが起こるのである。
皮下組織が腸から悪いバイ菌やアミンを吸収した白血球の消化の場にもなっているわけで、こうした反応を起こすのが、アレルギーないしアトピー性皮膚炎なのである。
ところが、自分自身の老化した細胞の消化は、異物とは違って、きわめてスマートかつスムーズな反応を経て、白血球のHLAの働きによって消化・吸収されてしまう。
そのた免疫系の機能は、からだの古くなった細胞を消化すること、つまり、リモデリングのシステムにある。
ヒトは一晩の休息中に一兆個の細胞が作り替わっている。
この膨大な数の一兆個について、古くなった細胞を見つけて掃除し、再利用したり、消化・吸収して、からだの外に排出するまでの面倒を見る。
それが免疫システムなのである。
このシステムがうまく機能しないと、からだは古い細胞から新しい細胞への入れ替えができず、大変なことになってしまう。
め、これまでの医学はそれらをまったく見分けることができずに見落としていたのである。
別つまり、一兆個の細胞を消化することがHLAのおもな役割であり、体内の新陳代謝を支えながら、ついでに体内に侵入した悪いバクテリアやウイルスを多少は消化することもできる。
これが免疫機構の本質なのである。
たとえば、長年、日本人の死亡原因のトップにある「ガン」の発生も、日々の一兆個のリモデリングの過程による突然変異で発生しているのである。
いわば失敗作、不良品の細胞といえるが、確率的には100万回の分裂に対して一回の突然変異を生じている。
数字で表せば0・0001%とごくわずかのようだが、一日一兆個のリモデリングが行われているため、一晩だけで100万個の体細胞が突然変異している計算になる。
このうちの3000個から5000個くらいが良性腫傷やガンになっていくのである。
その意味で、ガンはリモデリングの失敗で起きる病気ともいえるのだが、ガン細胞はほかの細胞と違って無制限に増殖し、取りついた臓器をもおかしくしてしまう。
また、ガン細胞は生命力が強く、手術で取り除いたつもりでも、別の細胞に取りついて、いわゆる「ガンの転移」が起こる。
こうしたガン細胞の誕生は、リモデリングの過程で日常的に起こっているにもかかわらず、たいていの場合、大きな問題にならないのは、骨休めが十分できえあれば、白血球が消化してくれるからである。
白血球の膜にあるHLAの本当の仕事は、このように、古くなった細胞と、良性腫傷やガンを見つけることなのである。
とくに若い女性のあいだで急増している「子宮内膜症」を例に、白血球の働きを観察し自己・非自己の免疫学では、子宮内膜症を、原因不明の、それこそわけのわからない病気としているが、わたしの考えでは、かなり単純な病気である。
ヒトが直立したことによる、からだの構造欠陥から起こる病気だからである。
くり返すまでもなく、ヒトは直立2足歩行をすることで進化を遂げたが、4本足から立って生活するようになると、それまで内臓を支えていた背骨がその役割を失ってしまった。
4本足のときは背骨が梁のように内臓を支えていたが、直立では支えられず、内臓はどんどん下がっていく。
内臓下垂や腎臓の遊走が起こりやすい構造になったのである。
そのうえ、直立して飛んだり、はねたり、走ったりすれば、その振動で子宮も動く。
その振動が刺激になって、子宮の内側にある子宮内膜がはがれ、腹腔に散らばってしまうのだ。
というのも、子宮という器官は腹腔に開いていて、腹腔に存在する卵巣から出た卵子も、そのうえで、口と肛門を閉じて睡眠と立位の姿勢を正し、横隔膜呼吸を一時間に10回程度を定期的に行えば、腹腔ポンプにより、腹腔内の血液の酸素不足が解消する。
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